ミスが多い日
ビハールは試用期間の自分に、朝一の担当で夜があてがわれたことについてエドウィンに相談したかったが、彼は連番で大変なのだから、余計な心配をかけたくないと思い、少し早いけれど休憩所に向かった。
カフェスペースだとどうしても同期や他の天使達と話がしたくなってしまいそうだと考えて、次の連番のために体力を温存しようと、すぐに仮眠室へ向かいアラームを設定して、自分が先程描いた夜の空を思い出しながら浅い眠りについた。
アラームに起こされてカフェスペースにいくと、いつもよりざわついている気がして、すぐ近くにいた知り合いの天使に聞いてみる。
「どうかしたのかい?」
「あ、ビハール。昨日は大変だったな」
「昨日のは僕のミスだから……。今日はミスしないぞって気合い入ってるよ」
にっこりとそう言うと、その天使は半分呆れたように、でもそれがビハールだよな、とどこか認めたように言う。
「お前は全く……理不尽な事まで許容しなくていいんだぞ? ちゃんと上官に言ったり相談したりしろよ?」
「それはまぁ……そう思ったらちゃんと話すよ。
ところで……なんだか皆、気が立ってると言うか何というか……。
いつもよりざわついてるけど何かあったのかい?」
「あぁ……なんだか今日は通達ミスが多いらしくてな。
いつもだったら、事前に通達した希望が八割は反映されるんだが、今日はほとんど反映されてなかったりもするらしくて」
「え……それは珍しいね……」
「体力的にキツイから連番を減らしてくれ、っていったやつが朝一で連番だったり、昨日休みだったから朝から連番大丈夫ですって申請した奴が朝一はなくて、二番目からも連番じゃなかったり……」
「そうそう、俺も今助っ人行ってきたよ」
「オレもだ。
体力的にキツイ奴ら、どんどん周りに教えろよ! 行けるやつが手分けして手伝いに行くから」
「決定所の無茶な采配はこっちでカバーしてやろうぜ!」
話をしている二人の元に、周りにいた天使たちも集まって、今日の異様な采配について話していった。
「この事、誰か通達所に言ったのかい?」
ビハールがそう問うと、集まってきたうちの一人が、
「|一天使は《ひとり》、次の担当を確認し直すついでに言いに行ったよ。今からじゃ希望通りに組み直すのも難しいだろうけど……」
期待はしていない、という雰囲気で言った。
「そっか……とりあえず現状を伝えるのは大事だもんね……。
じゃぁ、僕は次連番だから……とりあえずそっちに集中させてもらうよ」
「大変だったらお前もヘルプ出せよ?」
「うん、わかった。ありがとう!」
ありがたい仲間の申し出に、素直にありがたく思いお礼を言って、ビハールは担当の部屋へと向かった。