天候計画部署と雲絵師部署の確執
今日、もう二回担当の時間があるビハールは、ひとまず食堂で少し早い昼食をとり始末書を書くことにした。
そこは天候部署共同の食堂で、雲絵師部署、天候計画部署、の二つの部署から天使たちがやってくる。
天候計画部署の二倍の人数がいる雲絵師達は、それぞれが休憩の時間を利用してバラバラに食事をとりにくるが、天候計画の部署の天使たちは、たいていの者が十二時過ぎにやってくる。
食事をとり終え、食器を片付けてから始末書を書こうかと立ちあがろうとしたビハールは、ゾロゾロとやってくる計画部署の天使達を見て、しまったと思い、大きな身を小さくした。
ざわざわと、喋りながらやってくる計画部署の天使たち。ビハールの姿を確認すると、一人がこれ見よがしに大きな声で言った。
「お! あそこに本日多大な迷惑かけてきたやつがいるぞー」
「お前のせいでなぁ、俺たちは余分な仕事させられてるんだ。詫びの一つでもあっていいんじゃないか?」
たしかに、雲の量が規定より増えたため、その後の天気に影響を及ぼし、近隣の空まで予定を変更せざるをえなくなった事は事実。
あえていうならば計画部署だけでなく近隣の雲絵師達にも予定の変更で迷惑をかけてしまっている。
ビハールは立ち上がり、すぐさま頭を下げて言った。
「すみませんでした……」
「けっ……謝ればいいってもんじゃねーぞ?」
同じ天使なのに、何故こうも性格が違うのか。天候計画部署にだけではないが、そこには特に性格の荒い者が多かった。
もちろんそうでない者達もいるのだが、そう言った者は遠巻きにこちらを見ているだけで、何も言ってはこない。
「次の担当の時間は絶対に迷惑かけないので……!」
頭を下げたまま言うビハールの頭を見下ろしていた天使の一人が、おもむろに近くにあった水差しを手に取り……
「おい、お前。頭に白いゴミがついてるぞ?」
そう言って、ビハールの頭に勢いよくかけた。
「……‼︎……」
バシャバシャと滴り落ちる水に、これまで静観していた周りの者達が騒めきだす。
「ゲホッッゲホッ……!」
ビハールは顔の方に垂れてきた水を吸い込んでむせてしまい、顔を上げて目や鼻に落ちてくる水を避けようと手で拭った。
「ほら、まだついてるぞ? 取ってやるから頭下げろよ!」
そう言いながらビハールの後ろに回って無理矢理頭を下げさせようとする天使がいた。
ところがビハールはそれに気づいていたのか、反射的にそちらの方を向き、伸びてきていたその手を掴んだ。
「……!……」
「……本当にすみませんでした……!」