降り積もってきてしまった負債
「そんなこと今更言われたって無理に決まってるだろう⁉︎」
「本当に手前勝手で申し訳ない……! だが、こちらも朝からの修正の為に全員がオーバーワーク状態でその影響は今も続いていて……これ以上の修正が不可能なんだ……!」
どうやら雲絵師が二人と、その元にやってきた決定部署の者の声のようだ。
「なんとか近づけてくれないか……? 七十パーセントに……」
ビハールが降り立った時、声の主三名が時計下の出入り口から入ってきた。
「な……何かあったんですか……?」
ちょうど居合わせて雲絵師二人と目が合ったビハールは、とりあえず聞いてみた。
十分以上前に終了できた天使数名も、何事かと次々に集まってくる。
「こいつらのミスでな……! 本当は七十パーセントだったんだってよ! オレの担当した空!」
「しかも嵐指定だ。十分やそこらで描けれるわけがない……! あまりの無茶難題に彼の次に担当の私もきたが……」
「残り十分で七十の嵐の空なんて無理に決まってる……‼︎」
薄い青い目に涙を溜めながらそう叫ぶ天使は、ビハールより一年前に雲絵師になった先輩天使だった。
「掲示板には十パーセントて書いてあったから、オレはきっちり描いたんだ!
そのあと休憩室に行って終業時間まであと少しだなーって思ってたところに決定部署の奴らが来て……!」
そう叫ぶ天使を見て、ビハールは思い出した。
彼は確か………よくエドウィンにも手伝ってもらっている…………
「七十パーセント描かなければならないのにお前は何やってるんだ⁉︎ って……!
オレはこれまでも時間オーバーのミスが多くてさ……次大きなミスをやったらここに所属してられなくなるかもしれないんだ……!」
「じゃぁ! とにかく行こう! 僕も手伝うから……‼︎」
こんなところで時間を潰していてはいけない、と思わずビハールも叫んだ。
「俺たちも手伝うぞ! 急げ!」
周りにいた数名が協力すると言って、片付けるところだった筆とバケツを持ったまま、その問題の部屋へと向かった。
バタン! と勢いよく扉が開かれると、そこはとても美しく描かれた十パーセントの雲が目に焼き付く、夕暮れの部屋だった。
「パーセンテージは七十だな! 嵐指定で間違いないんだな⁉︎」
一緒にやってきていた決定部署の天使が答える。
「そうだ……!」
言っている本人もこれは無理だろうと思ってか、苦しそうな表情でそう言った。
「全体ですか? それとも他に細かい指示は⁉︎」
「南西の方角が濃ければ濃いほど良い!」
ビハールの問いにもすぐさま答える。
「とにかく取り掛かるぞ! 少しでも七十に近づけるんだ!」
一緒にきた天使たちが急ぎバケツを置いて、筆を背から下ろす中、ビハールは一人その方角を見つめていた。
全員で取り掛かっても普通の方法ではとても間に合わない……何せ七十パーセントのスペースを雲で埋めなければならないのだから……
何か方法は……と考えていて、ビハールは自分の今日の作業から何かを思いついた。
「皆! 僕のやり方が真似できるならやってみて!」